知られざるチョルバ(スープ)の世界

トルコ料理には欠かせない種類豊富なチョルバ

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Çorba、以下チョルバ(トルコ語でスープの意味)はトルコ食文化の重要な要素の一つである。チョルバはトルコの家庭でよく朝食代わりに飲まれる。また、以下で紹介するようにトルコ料理におけるチョルバの種類は実に何十種類にものぼる。

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チョルバの定番、メルジメッキ・チョルバ(レンズ豆のスープ)

チョルバはアナドル文化、トルコの民俗にとって重要である。西洋ではただ美味しいものとして飲まれるチョルバは、我々の文化圏では立派な食事の一つとして存在する。食卓の代表ともいえるほど重要な料理のひとつなのだ。

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クリーミーな味わいのマンタル・チョルバ(マッシュルームスープ)

「チョルバ」という単語はカフカス地方、中東、中央アジア、バルカン地方、そしてアナトリア地方にわたる広い地域で発音の違いはあるもののほぼ同じ単語が使われている。’Şorpa’, ‘Çorba’, ‘Ciorba’, ‘Şorpo’, ‘Şulpa’ もしくは ‘Hurpa’として呼ばれている。トルコ語で使われる「Çorba(チョルバ)」はフランス語の’Şurba’が語源である。「塩味」という意味の’Şur’と「調理された」という意味の’Ba’が繋がって作られた言葉である。

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鶏肉を使った優しい味のタブック・チョルバ

チョルバは、腸内の水分量を増やすとともに満腹感も得られるため、栄養学の専門家の勧める食べ物の一つである。またその栄養度は使われる食材によって変わる。チョルバは基本的に野菜、肉または魚のような食材の水分のみによってできるものである。チョルバは、フランス人にとってごはんの最初に食べるのが好まれる汁物である。フランスでは一般的にパンと共に食べられる汁物である。

 

トルコ文化におけるチョルバ

チョルバはアナトリア地方またトルコ文化において重要な食べ物の一つである。言うまでもなく、毎朝様々な目的で様々な種類のチョルバが飲まれている。チョルバの冒険は朝ごはんから始まり、夜まで続く。チョルバを飲むことは夜飲みすぎた人が、日がまだ昇り始めていない時間帯までに回復するためにもいいとされている。また西洋ではチョルバ専門のレストランは見つからないが、トルコでは貧しい者から富める者まで、誰にでも気軽に入れて、チョルバだけを専門に提供する店がある。

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挽き割り小麦などの入ったエゾゲリン・チョルバ。家庭料理の定番。

アナトリア地方でチョルバ作りは冬支度の重要な一部であり、長い歴史をもって作られ続けている。チョルバはトルコ人にとって大変重要であるため、各チョルバは独特の作り方で作られ、その種類は何百にものぼる。お分かりのように、チョルバはトルコ人の食卓で不動の地位を築いている。何百年、何千年と遊牧民として生活をしてきたトルコ人の豊富な食文化の伝統である。

何百年、何千年も前から、かつて遊牧民であったトルコ系の民族の食文化に加え、その遊牧民族が定住してから使うようになった果物や野菜も、チョルバ文化の発展に影響した。

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ミントをふんだんに使ったナーネリ・チョルバ

 

オスマン帝国の影響

中華料理、フランス料理に並んで世界三大料理の一つであるオスマン帝国の料理(トルコ料理)にはいくつもの郷土料理が存在し、またその中でも特にチョルバは種類豊かである。これは、オスマン帝国が多国籍、多民族からなる巨大帝国であったこと、また「地域的」な境界がなくなっていたことによる。オスマン帝国時代は宮殿のシェフらはトルコ料理、そしてチョルバの研究、評価を繰り返したことによって現在のこれほどまでの種類が存在するに至った。

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ピリ辛のタルハナ・チョルバ

宮殿のシェフらはまず最初にチョルバを新しく、一風変わったチョルバに開発することに力を入れていたようである。シェフらはよい食事の始まりにはおいしいチョルバが必要と考え、試行錯誤の末にこれほどまでの種類になった。オスマン帝国時代、宮殿に於いて美食や調理法の多様化がさかんになるのは18世紀初めだとされているがチョルバもその波に乗る。現在のおいしいチョルバは宮殿のシェフらの、美味しいものを提供したい飽くなき追及によってできたとされている。

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優しい味のセブぜリ・チョルバ(野菜スープ)

西洋化が進み始めたとされる、歴史家によって後から「チューリップ時代」と呼ばれた時代にトルコのシェフもヨーロッパにおけるスープの発展を見るようになり影響を受ける。オスマン帝国の長い歴史の中で、実に多くの面において最も繁栄した時代はスルタンスレイマン1世(カーヌーニー)時代である。この時代でもチョルバは、豪華な晩餐やお祝いの席でも、宮殿の食事の際には一番最初に出てくる最も大事な料理であった。チョルバは現在でもコース料理で最初に出てくる料理である。いうなればトルコ料理の代表である。不思議なことに、最初のチョルバがおいしければ、その後に出される料理も間違いなくおいしいと感じるものだ。トルコ料理にとってチョルバは、それほどまでの責任ある料理なのである。

トルコ料理独特のチョルバの例

1- Salatalik Çorbası (胡瓜スープ)
2- Fasulye Çorbası (インゲン豆スープ)
3- Sogan Çorbası (玉ねぎスープ)
4- Patates Çorbası (ポテトスープ)
5- Bezelye Çorbası (エンドウスープ)
6- Kırmızı Mercimek Çorbası (赤いレンズマメスープ)
7- Yayla Çorbası (高原スープ=ヨーグルトスープ)
8- Sebzeli Tavuk Çorbasi  (野菜入りチキンスープ)
9- İrmik Çorbası (セモリナスープ)
10- Kremalı Mantar Çorbası (クリーム入りマッシュルームスープ)
11-Tarhana Çorbası (ピリ辛・トマト味・乾燥ヨーグルトスープ)
12- İskembe Çorbası (羊の胃袋スープ)
13- Düğün Çorbası (結婚式スープ=牛肉入り小麦粉・ヨーグルトスープ)
14- Bolu Tarhana Çorbası (ボル市風タルハナスープ)
15- Mantar çorbası(キノコスープ)
16- Domates Çorbası (トマトスープ)などなど。。。

翻訳者:Chihiro UCHIYAMA

情報源:http://www.yemekhikayeleri.com

 


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