シルクロード:突厥之路

GRT(グルメトルコ)特集

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1980年代、日本ではにわかにシルクロード・ブームが巻き起こった。
火付け役はNHK特集番組である『シルクロード:絲綢之路』の放送、唐の都であった長安(現在の中華人民共和国・西安)から新疆・トルキスタン・イラン・イラク・トルコを経てローマまでの【シルクロード】の様子を取材した。

http://www.nhk.or.jp/archives/

車も鉄道も飛行機もなく、陸上の移動といえば馬や駱駝、もしくは徒歩であった時代のことである。
中華の特産品であった絹を主として、トルキスタンやローマの奢侈品が運ばれていったのがこのシルクロードであり、その運搬に重要な役割を担ったのが洋の東西の王侯貴族、草原・砂漠の遊牧民や交易商人であった。
このようにして運ばれた産品の一部を今日にまで伝えているのが、奈良の正倉院などに収められている大陸由来の品々である。

シルクロードを語るうえでとくに重要なのが、いまのモンゴルがある草原地帯に突厥帝国(おおむね隋唐の時代にあたる)を建国したトルコ人である。
トルコ人は馬とともに生きる遊牧民、当時の馬は今日でいうトラックに匹敵し、馬上で弓を射れば戦車にすら匹敵した。
駿馬をもって広大なアジアを一つにつなぎとめていたのは実にトルコ人だったのである。

『GRT特集 シルクロード:突厥之路』では、「世界の全て*」であるイスタンブールを始点・終点とし、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、モンゴル、日本、ロシアを紹介する。

筆者はトルコ史を研究する大学院生、イスタンブールに留学して一年が過ぎた。特技はトルコ弓術。
日本に一時帰国するにあたって、飛行機で何十時間も過ごすのは嫌だったので、沙漠や草原に行ったり、シベリア鉄道に乗ることにした。

ともかく、シルクロードのなかでも沙漠の島であるオアシス、馬上の民が駆けたステップ、北辺の森林地帯のタイガを見ることとなる。
その様子をこのグルメトルコで報告したい。

*イスタンブールはローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国という三つの「世界帝国」が都を置いた街。イランのイスファハーンは壮麗さから「世界の半分」と呼ばれているが、それならイスタンブールは「世界の全て」では?

 

永島 育

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