オスマン宮廷料理のイフタールの食卓

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今日に至るまでずっとラマダン(イスラム教の断食月)には豊かな食事が入念に準備されてきた。オスマン帝国のころから、年の主役といえるこの月にはたくさんの料理が普段よりも丁寧に細心の注意を払って用意されてきた。そのため、ラマダンの2,3か月前には食べ物や飲み物の準備や買い出しが行われ始める。ラマダンのイフタール(ラマダン中、日中の断食後に食べる最初の食事)はオスマン宮廷料理の最も華やかな場であり、この時期の伝統は今日に至るまで残り続けている。そのため私たちが普段イフタールで見慣れている料理の多くにはオスマン帝国期のおもかげを残している。このような特別な料理からラマダンのメニューに欠かせない料理をいくつかセレクトした。

 

前菜 彩り豊かなイフタール料理

目からも口からも楽しめるイフタールには薄味だが食欲をそそる小ぶりの前菜が多い。ラマダンピデ(ラマダン用の平らなパン)や焼き立てのパンを添えて出される。デーツ、バラジャム、はちみつなどは特に消化に良いので好まれる。オスマン帝国期から残り続け今日もなお人気のあるものとしてはオリーブ、濃厚で脂肪の多いチーズ、トルコソーセージ、パストゥルマ(香辛料を使った塩漬けの干し肉)などが挙げられる。イフタールでは風味豊かな料理の中から何種類かの一口サイズの前菜が提供されている。これらの前菜は食欲をそそり、血糖値を正常にし、スープを飲む前の胃の調子を整えてくれる。

食事に暖かみを与えてくれるスープ

イフタールには2種類のスープが用意される。一般的に断食明けには、体によく、温かくて濃度の濃いスープがよく飲まれる。1つはレンズ豆スープの一つであるチェシミニガースープのような牛乳、レモン、卵黄を使って調理される滑らかな口当たりを持つスープだ。もう一つはイスケンべスープやヌードルスープ、ほぐした鶏肉と鶏ガラを使ってつくられるナスのハーレム風スープなどその他風味豊かなスープである。

副菜のサライカリ

オスマン帝国の特に宮廷内でつくられたイフタールの副菜として出されていたシンプルだが素晴らしいこの料理はとりわけ食欲をそそる一品だ。キャラメリゼした玉ねぎを香辛料と酢で味付けしその上に卵をのせていただく。隠し味に入れられたオールスパイスやシナモンなどの香辛料が芳醇で奥深い味わいを生み出している。サライカリはイフタールでは毎回スープの後のつなぎとして食べられていた。

美味しさ満天の温菜と冷菜

ラマダンのイフタールでは通常オリーブオイルを使った薄味の料理が出される。ナスのチーズグリルやトーストしたライ麦パンの上にシャンク(羊のすね肉)をのせたティリトリハスパチャス(パン入り肉煮込み)が人気の前菜だ。このほかにもチェリーと松の実と香辛料を入れることで劇的に味が変化するサルマ(ぶどうの葉やキャベツで穀物やひき肉などを巻いたもの)や宮殿スタイルのそら豆入りアーティチョーク(若いつぼみを食用とする地中海沿岸原産の春野菜)はラマダンの食卓には欠かせないオリーブオイル料理だ。

イフタールの食卓に豊かにするボレキ

具材たっぷりで種類豊かなボレキ(パイ)はラマダンのイフタールには欠かせない。食卓に様々な種類のボレキが並ぶことで食事をいっそう楽しく豊かなものにしている。オスマン帝国期には肉やほうれん草でつくられることもあったものの、多くはチーズからつくられていた。それに加え、調理にかなり手間のかかるスボレイ(薄く延ばして茹でた生地と白チーズを挟みこんだパイ)も食卓には欠かせない一品だ。今日のラマダンの食事には薄味のものも含まれているため、タンドリーパンや肉などを使ってフライパンでつくるカラコシュや薄く延ばしたこね粉や肉を使ってつくられるタスボレイのようなしっかりと味のついたボレキが代わりに食されることもある。

味の極みのメインディッシュ

ラマダンのメイン料理には今日も変わることなく肉が使われている。羊のすね肉にはアスパラガスの野菜炒めとアーティチョークが付け合わせとして添えられていて、どれも食欲を満たし幸せな気持ちにしてくれること間違いない。瓜の中に羊肉、米、スパイス、アーモンド、ピスタチオ、レーズンを詰めてかまどで焼き上げたカブンドルマは、味でも見た目でも食欲をそそる伝統的な一品だ。

香り豊かなスパイスで調理される骨なしチキンとサフランライス、野菜のソテーを組み合わせることで昔ながらの味を現代風にアレンジしたイフタール料理は、あっさりしていながらも非常に味わい深い。乾燥イチジクやぶどう、アーモンド、羊肉を土鍋に入れて作る一種の鍋料理ともいえるムタンジャナはオスマン帝国期から受け入れられてきたもので、目からも楽しめるナッツとビタミンたっぷりのメイン料理である。

食べ始めたら止まらない絶品デザート

ラマダンの伝統的な料理の中でも特別メニューで「イフタールの真珠」と称されるギュルラッチ。あっさりとしていながらもミルキーでバラの花が香るこのデザートは食後の口をさっぱりとさせてくれる。ラマダンにはバクラヴァやショビイエット、ヘルヴァといったシロップを使ったデザートもよく作られるが食事全体が重くなりすぎてしまうことがある。その場合、カザンディビやクルミ入りのカダユフロール、アイスクリームを添えたカボチャの甘露煮などの伝統的なデザートが出される。

情報源:https://www.unileverfoodsolutions.com.tr/

翻訳者:内貴大翔 Hiroto NAIKI


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